(敵中に侵入するにあたってすべきこと。)
一、四方髪(よもがみ)は、逢う所にしたがって、髪を変える始計であるべき事。
二、諸々の生業の芸、あるいは物真似などに至るまで、手練する事は変言化姿の計るべき事。
三、常に諸国の風俗の地形の模様を知るべき事。
四、兼て諸方の城主の印を貌写(にせうつし)置くべき事。
五、兼々、諸大将の旗、纏(まとい)、指物(さしもの)、立物、幕紋などをよく覚えるべき事。
六、兼て、名と芸を深く隠すべき事。
*四方髪 : 一人で複数の人物を装って生活し、それぞれを別人と思わせること。
*旗 : 軍陣の記標。37巻で善法寺伊作が夏休みの宿題として取ってくるように言われたもの。
*纏 : 馬印とも言う。武将が己の位置・武威などを誇示する為に、自身の周りに置いた標識。