(敵中に侵入するにあたってすべきこと。)
一、四方髪(よもがみ)は、逢う所にしたがって、髪を変える始計であるべき事。
二、諸々の生業の芸、あるいは物真似などに至るまで、手練する事は変言化姿の計るべき事。
三、常に諸国の風俗の地形の模様を知るべき事。
四、兼て諸方の城主の印を貌写(にせうつし)置くべき事。
五、兼々、諸大将の旗、纏(まとい)、指物(さしもの)、立物、幕紋などをよく覚えるべき事。
六、兼て、名と芸を深く隠すべき事。
*四方髪 : 一人で複数の人物を装って生活し、それぞれを別人と思わせること。
*旗 : 軍陣の記標。37巻で善法寺伊作が夏休みの宿題として取ってくるように言われたもの。
*纏 : 馬印とも言う。武将が己の位置・武威などを誇示する為に、自身の周りに置いた標識。
甲冑の一部分で、顔面・喉を保護するためのもの。総面・頬当に分かれる。顔の大部分を覆うことで、敵に年齢や顔を悟らせないという効果もあった。作中では、佐竹鉄砲隊の面々が着用している。
〇半頬(はんぽお)
頬当のうち、顎のみを覆うもの。顎頬(あごほお)ともいう。
〇目の下頬(めのしたほお)
頬当のうち、鼻まであるもの。黒・白・赤色の鬚を植えて威を示した。
〇総面(そうめん)
目・鼻・口の開口部を除いて、顔全体を覆ったもの。室町時代前期に登場し、当時はたいへん高価なもので一部の上級武士のみが用いた。
面の表情や作りによって、さらに種類が分かれる。
〇半首(はつぶり/はっぷり)
額から両頬にかけて覆ったもの。作中では盗賊などが着用している。(41巻の山賊など)