今福彦四朗の名前の由来となった、毛利氏家臣、杉原盛重(すぎはらもりしげ)配下の忍。
狐や狸の変化にも勝ると噂されるほど、幻術に長けていたという。
ある冬の事、彦四朗は弟子に、「師匠でも、こうして皆が集まって囲んでいる、囲炉裏の燃えている薪を、盗み取ることは出来ないでしょう。」と言われた。すると彦四朗は、では、盗ってみようか。と言うと、その場にいる者たちに幻術をかけ、そのまま薪が燃えているように見せかけて、その間に、薪をすべて取り去ってしまった。彦四朗が、ぽんと囲炉裏の端を叩いて幻術を解くと、皆、薪が全て無くなっていることに気付き、唖然としたという。
またある日、入江大蔵という剛の者が彦四朗に、「今宵、自分の刀を盗ってみろ。もし出来たなら刀をやろう。」と言った。その晩、大蔵の屋敷に彦四朗が忍び込むと、大蔵は布団の下に刀を入れて眠っていた。そこで、彦四朗は紙に水を染み込ませ、天井裏から大蔵の顔へ水を数滴垂らした。すると、雨漏りと勘違いをした大蔵は、起き上がって板の間へ様子を見に行った。その隙に、彦四朗は刀を奪って退散し、大蔵の刀を見事手に入れた。ということである。
*彦四朗が登場する書物 → 陰徳太平記
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