火を付けるための火打ち道具。

木綿、竹の繊維、檜・杉・槿(むくげ)の皮などを結い合わせたもので、
輪火縄、切火縄がある。
〇輪火縄(わひなわ)
火縄を輪状にしたもの。
〇切火縄(きりひなわ)
火縄を5~7寸(約15~21㎝)に切り、片端を糸で縛ったもの。大筒の点火などに用いた。
〇木綿
硝石の溶解液や、鉄漿(かね)、柿の渋に石灰をいれたものや藍などで、煮たり染め上げたりしたものを用いる。湿気に強く、霧雨程度の湿気では消えない。晴天の場合は、乾燥して火付きが良すぎるため、濡れた布で軽く拭いてから用いる。
〇竹
火付きが良く、輪火縄にしたものは、そのままでも18尺(約5.5m)ほど燃え続ける。一度湿ると、いつまでも湿ったままで使えなくなるのが難点。竹を叩いて柔らかくして作る。
合戦で用いる際は、火縄に火を付けたままの移動になる場合もあるが、この際、灰で火が消えないように火縄を回しながら行軍する。
*大筒 : 大砲の事。使用する玉の重さが三十匁~1貫(銃口径27㎜~86㎜)の鉄砲。
*鉄漿 : お歯黒に用いる液。茶、酒、酢、粥などに古い釘を浸して酸化、発酵化させ、五倍子(ふし/フシノキ、カチノキ。ウルシ科の落葉高木。タンニンを多く含む)粉を混ぜたもの。悪臭がするが、虫歯予防の効果があった。
*胴火(どうか/どうのひ): 火種を保持する道具。点火した火縄を入れて緊急に備える容器。